【レビュー】東京オアシス

今までのシリーズの中でも、ちょっと異質と言っても過言ではないだろう。
映画、というより朗読、に近い。
言葉のひとつひとつを吟味し、追いかけなければ、
この作品の良さはわからないのではないか。

何か(現実、感情)から逃げている主人公、トウコ。
彼女が出会う3人との対話によって、
自らの考えや気持ちを少しづつ、
なんとなく、薄らと、自覚していく。

それぞれオムニバス形式で語られ、
主人公が”歩く”事で舞台転換する。
普段生活していて、誰もがぶちあたる想いや、
やるせなさ、あきらめ、そういった心情を、
対話する事で揺り動かしてみる。

なじみのレギュラーメンバーである、
もたい、市川、光石の3名もモブキャラとして1シーンづつ程登場する。
(上記設定で別途DVDにのみ収録予定のエピソードがあるとの事)
彼等の登場は勿論、
「〜な人に、悪い人はいませんから」
といった台詞によるオマージュなどにも思わずニヤリ。

しかし、初見で把握するには難しい内容。
自分の感覚に引っかかった言葉や情景を、
何度も反復する事で、初めて咀嚼できるのだ。

見つめてみよう、きっと誰かがみえてくる。

映画『東京オアシス』オリジナル・サウンドトラック

映画『東京オアシス』オリジナル・サウンドトラック