【レビュー】タクシードライバー

劇中に流れる曲の雰囲気とは逆に、
内容としては退廃的な印象を常に受け続ける。
主人公の、日々におけるやるせなさ、いらだち、
焦りといった今も昔も変わらぬ、
あの感情群にどうしようもなく振り回される様は、
鑑賞側に共感させてくるのではないだろうか。

タクシードライバーとなった主人公が、
恋をするが上手くいかない序盤から、
凶行に走りつつも、たまたま知った娼婦(少女)を救う流れにシフトする。
結果的に、罪に問われなかったものの、
一歩間違えれば犯罪者となっていた。

大統領候補の暗殺を計画し、
自らを鍛えるシーンもどこか真実味がない。
それだけに、超人などでは決してない一般人としての彼に、
苦笑しつつも納得してしまう。
本人がまじめであればある程、伝わるものはあるのだから。
そこに狂気が孕んでいたとしても。

幕引きの仕方は、ちょっと唸ってしまう。
格好良かった。