【レビュー】時計じかけのオレンジ
導入部分からして圧倒的だった。
キューブリックの凝視(Kubrick stare)、というのは後々調べて知った手法だが、もうなんとも言えない印象を残されてしまう。
暴力描写についてもどこかコミカルで、辛さを感じなかった事も有るかもしれない。
中でも、以下を特筆したい。
1:クラシックを流しながらの早回し
2:作家が風呂場で歌う、”雨に歌えば”を聞き、犯人だと気づいたシーン
3:病室で食べさせられながらのやりとり
1については直前の描写から、あ、これは早回しだな、と。
こうなるともう、あっさりしたもんです。艶かしさなんて一切ない、事象に対する作業感というか。
そういう事があったんだよ、程度の。
2は、もう、歌いだしたあたりから、いわゆる「やめとけって!」満開で。
案の定気づかれてしまう辺り、予定調和ではあるのだろうけど、
その後の作家の態度を描くにはこれ以上ない。
3の、気持ち悪くてたまらなかった、物を食べるにあたっての催促の仕方!
むず痒くなる程の鬱陶しさに、目を背けたくなる。
暴力を抑圧されても、人の本質は変わらないのではないか。
自らの感性を持ってして選択するべきは、人生における全てに当てはまる。
その点においては、最後の「完璧に、治ったね」が象徴的。
観終わってから、”雨に歌えば”が頭から離れなくなるのはご愛嬌。
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