【レビュー】ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

男同士の友情において、距離感は非常に大事だと考えている。
相手との関係性が、はっきりと現れるので。
肩が触れ合う距離で苦痛ではないか、相手に触れられるか、等々。

こっそり忍び込んだ病院の厨房で、ウォッカを飲む為に塩とレモンを手に入れ、
余命短い2人の男が願ったのが、「海を見に行く」という事。
(全編を通して、このレモンが転がるシーン等、芸術的な演出がそこここに。)

たまたま、盗んだ車に大金が入っていて、
たまたま、銀行強盗もやり遂げて。
間抜けなギャングと警察に追われる事になりながらも、
あくまで余生を楽しむ事に余念がない辺り、一種悟りの境地のように見えた。

なにやら、想いさえ定まっていれば、死を目前に苦しい事や悲しい事は、そう起こらないのかな、と。
少なくとも、そういった事象が起きても、ネガティブには受け取らずに済むのだろう。
あきらめ、と紙一重ではあるのだが。

海に向かう途中の一本道で、ある意味あそこがStairway to Heavenでしょ。
扉を開ける一歩手前、そこへ至る道。

天国では、皆、海の話をするんだよ。


ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア [DVD]

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