【レビュー】アジョシ

抱きしめたくても、触れる事の出来ない瞬間。
けれど、最後に一度だけ。
その一度の包容に、どれだけ救われる事だろうか。
お互いに。

大筋としては良くありがちな奪還、復讐劇なのだが。
アクションの質、撮り方には目を見張るものがある。
また、2時間前後のストーリーが破綻していないのも、
クオリティの高さの証明か。
破綻している部分も、特に気にならない。
食わず嫌いもあろうが、これは純粋にオススメだ。

中盤以降の髪を切るシーンも、意識の切り替えとなって良い。
前半と後半で印象が変わるのもそのおかげであるし。
テンポの変化を楽しむべき。

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【レビュー】トゥルー・グリット

なんとも淡々と事が運ぶ印象が強い。
レトロな作風、というわけでもないが、
現実味、により近いのではないか。

西部劇、かつ復讐物といったテンプレ構造ではあるが、
どちらかといえば、感心しながら観る類い。
特筆すべき見所、といった点が挙げられないが、
その分ゆっくり観れると言えばそれはそれ。

ラストの現在の話のくだりは、
あってもなくてもどちらでも。
無常感が出る辺りは、個人的には好ましい。

映画好きは好きそう、
でもハリウッド慣れさせられたジャパニーズ受けは、
そう良くはないんじゃないか。

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【レビュー】グリーン・ランタン

わからんでもない。
やりたい事も、どういう意図で制作されたかも。
ただ、どうしてもパワー不足感は否めない。
背景の説明に大半かかってしまって、
見せ場がほとんどなかった事がなんとも。

概要としては、
グリーンランタンと呼ばれる宇宙警察(の様なもの)によって封印されていた、
恐怖を糧に活動するパララックスが復活する所から話が始まる。
かつて封印をおこなったアビン・サーも重傷を負い、
自らの後継者を選ぶ為に地球に降り立つ。
そこで選ばれたのは、パイロットのハルだった。
彼は宇宙を守る事が出来るのか…?
といった内容。

昨今のCG技術の向上で、異星人も違和感なく見れるようになってきた。
リングを用いて戦う、”意思の具現化”といったギミックも面白い。
そうなると、やはり脚本の力不足か。
マンガの実写映画化は、どれだけ原作のキモを外さないかが重要だと思うが、
(アメコミに限った話ではない)
上手く押さえれて無い様に感じた。
と、いうか、感じさせてしまう時点である意味アウトなのだが…。

次回作への伏線も最後にきっちり張っていたので。
ちょっと長めの序章と考えれば、それはそれで。


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【レビュー】ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

はっきり言おう。
今作は、当たりだ。
年季の入ったトムが、
これでもかと言わんばかりに駆け回る。
ありきたりな、チープな演出も影を潜め、
また添え物の色恋沙汰もカット。
アクション大作らしい仕上がりだと感じる。

物語はロシアの刑務所に”なぜか”収容されているイーサンを救出する所から始まる。
直前に核兵器の発射コードが盗まれた為、
奪還するべく彼の尽力を仰ぐ、と。
国家、引いては世界の危機をわずか数人のチームで対処するあたり、
ある意味こういった作品もセカイ系
ところが、侵入したクレムリンで情報を得られず、
あろう事かテロ爆破の主犯に祭り上げられ…。
IMFのバックアップを受けれなくなった主人公達が、
どのように事件を解決するのか。

特筆すべきは、やはりドバイの高層タワーでのアクションか。
あれだけの高さを身一つでよじ登る姿は、
はっきり言って狂気の沙汰。
帰還する際にロープの反動を使った大ジャンプは、
映画史に残るのではないか、といったレベルのハラハラ感。
思わず声が出た。

シリーズを通して4作目である本作。
全体を通して若干間延びしている部分も見受けられるが、
充分以上の出来ではないか。

ラスト直前のカメオ出演も、
前作を予習していれば尚嬉しく。
時間があるなら、通しで観る事を強くおススメする。

ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル

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【レビュー】あの頃ペニー・レインと

若干15歳の少年が、トントン拍子に大手の音楽雑誌の記者に抜擢され、
これまた偶然知り合ったバンドのツアーに同行する事になる。
ストーリー的なご都合感は否めないが、
主人公の行動力の賜物と考えれば特に違和感もない。
これがまた実話を基に作られているというのだから、
人生とは奇なりとはよく言ったもので。

バンドメンバーとはやはり多少なりの距離感がある中、
地道に取材を続けていたと思う。
想像するだに、苦労が偲ばれる部分だ。
また、その辺りの描写が弱かったのか、
見ている最中は記事の仕上がりが気になってしょうがなかった。

実際に音楽を演奏する場面はほぼなく、裏側の話に徹する。
音楽というベースの上で、人間関係を描いている。
そういった意味では、観客側も客観的に彼等を観察する事になるのではないか。

主人公のペニーへの愛、ラッセルへの仲間意識。
大人へと成長する過程での家族との関係や、
もどかしさも相まって。
百聞は一見に如かず。

あの頃ペニー・レインと/オリジナル・サウンドトラック

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【レビュー】愛のむきだし

なっがい。
兎角、240分近い前後編の物語で、
それでも中だるみしないのは作品のクオリティというべきか。
前半は壮大な前フリ。
登場人物の関係性や生い立ちを事細かに説明した後の、
本編とも言える新興宗教へ入信した家族との壮絶な対話。
便宜上前後編として分けられているが、
一気に見る事をおススメしたい。

主人公は神父の息子、敬虔ともいえるクリスチャンであったが、
家庭環境のもつれから、自ら罪を作るようになる。
また、自らが求める”マリア”を見つける為に、
禁忌である性的な犯罪(盗撮)に勤しむ生活を続ける。
そんな日常の中、偶然女装している最中に出会った少女に衝撃を受け…。

ここまでじっくり様々なエピソードがあれば、
各キャラクターへの思い入れもその分膨らんでいく。
また、随所に登場する名優、怪優も花を添える。

じわじわくる日常生活の延長線上の、悪意。
理解されない事の苦しさ、厳しさ。
自らを正義、善とした場合、
対立する相手の言葉はこうも容易に”害”と映るのか、という事。

ただ。
そんな中にも、救いは、ある。

愛のむきだし [DVD]

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【レビュー】ミッション:インポッシブル2

全編通してジョンウー節大炸裂なのだが。
特筆すべきは冒頭のロッククライミング
これ、多少齧った人間にはわかるが、そりゃもうセクシー。
且つ、常人じゃない。
いやいや、無理無理、って。
結果、イーサン、かっこいい、と。

一作目からうって変わり、アクション主体。
話の内容も深く考える必要もなく、純粋に娯楽作品として。
殺人ウイルスを巡る、主人公と、元影武者の攻防。
お互いを知り尽くしているからこその、
先読みの数々はニヤリする部分もあり。

数々のアクションをトム本人が行っている事も驚嘆。
まぶた直前でナイフを止めるシーンは、
監督は猛反対したにもかかわらず、
当人の強い要望で実現したとか。

今後の作品に繋がる一本としても。
興味があれば、是非。

M:I-2(ミッション:インポッシブル2) [DVD]

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M:I?2 スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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